雑談コラム一覧

物忘れをどうにかしたい?

初稿 2025年8月14日

「最近、物忘れがひどくなったなぁ……」

いい年になったら、誰だって思いますよね。私も思います(笑)

一般的には「物忘れ」と「認知症」は違う状況です。これの難しい定義は、ここでは紹介しませんが、私が臨床的に感じるのは、自覚しているのは「物忘れ」、自覚できないのは「認知症」の場合が多い気がします。

自覚できるからこそ、「物忘れ」をほっておくと、ドンドンひどくなってしまうのではないか?「認知症」になってしまうのではないか?と不安になりますよね。

私も、そう思います。

 

物忘れ

 

では、「物忘れ」の段階で何かできることは無いのか?ここでは、鍼灸の立場から考えてみましょう。

まず、ただの「物忘れ」は、病気と言えない状態のものが普通です。「記憶」を「走る」ことに言い換えるなら、速く走れないことは病気では無いですが、走ることができないのは病気かも知れません。でも、速く走れなくなったのは病気かも知れません。でも、練習していなければ速く走れなくなるのは当然のことです。

ここで例えた、病気の区分が「認知症」、病気ではない区分が「物忘れ」と仮に定義するなら、「物忘れ」に対しては、本来の脳機能を十二分に発揮できるように、体調や生活習慣などに対して、何がしかの取り組みをするということでしょう。

東洋医学では、記憶は、主に「脳」と「心」が関与して正常に機能しています。さらに、脳機能に関与が深いのが「血」であると言われます。また、「脳」や「心」へ正常に気血が運行されることも重要です。さらに、気血が運行する場としての身体が、気血が正常に運行でき、臓腑が正常に機能するような状態であることが必要です。

これらは理論的な話です。

臨床的には、
①頚部の筋緊張が高く、頭部への血液運行が十分とは言えない。
②血液の質があまり良くなく、脳機能が十分には発揮されていない。
この二点が多いような気がします。

ただ、これは「物忘れ」レベルであることに注意が必要です。
「認知症」でも、同様な状況が良くありますが、前述したように、ここでは、違うものとして話を進めます。

頸部の過緊張については、鍼灸が大きく力を発揮する状態かと思います。
私も、頚部には自分で良く鍼をしますが、頭がすっきりしやすいです。

血液の質については、東洋医学的なチェックをしないと、どの臓腑や経絡や身体に調節する必要があるのか?が分からないので、実際に診察しないと分かりませんが、この手の取り組みは中長期的に取り組む必要があるので、食事や運動や睡眠などの生活習慣を改善する必要があります。

2025年08月14日

ちょっと良くない赤ら顔

初稿 2025年8月15日

東洋医学の考えに「整体論」と言うものがあります。これは、身体はパーツを集めただけのものでは無く、全体として一つの融合体として作用している、という理論ですが、この考えから、身体の一部も身体全体の現象を反映しているはず、と考えます。これを「全息論」とか言ったりします。

つまり、
身体の一部は身体全体の反応に応じて変化している。

ということです。
この理論があるので、脈を診て全身の状態を考えたりするわけですが、顔面からも同様に情報を得ます。

 

赤ら顔

 

今回は、赤ら顔についてですが、
まず、
元々からある「赤ら顔」は、あまり問題になることは無いです。これから紹介する内容に当てはまるかも知れませんが、基本的には病的ではなく、正常範囲内の場合が多いです。

今回取り上げる「赤ら顔」は、①顔面がまだらに赤くなる、②顔面が全体的に赤くなる、の二つについてです。
これら以外にも、特定の部位、例えば頬だけ赤くなるとか、おでこだけ赤くなりやすいとかありますが、今回は二つの例について、お話ししましょう

①顔面がまだらに赤くなる
これは、東洋医学で言うところの「内熱」と呼ばれる状態の場合が多いようです。いわゆる「熱がこもっている」状態で、鍼灸では臓腑のどこかが熱を持っていると考えます。
たとえば、前日に普段食べないのに焼肉をたくさん食べたりすると、腸内が炎症のような状態になることがあって、そんな時には熱がこもって、寝つきが悪くなったり、赤ら顔になったりすることがあります。
単純に、この話だけなら治療は必要ありませんが、この状態がつづいてしまったりする場合は、何かの原因があって、赤ら顔の状態がつづいてしまっていることになるので、何らかの治療や取り組みが必要でしょう。
ここでは、鍼灸などの東洋医学的な話をしているので、鍼灸や漢方でのとりくみがしやすいような説明の仕方になっていますが、現代医学的な取り組みでも、何も問題はありません。ただし、現代医学的な解釈は、今説明したものとは違うので、その点は注意が必要です。

②顔面が全体的に赤くなる
これは、東洋医学的には「発熱」の状態です。正常なものも多くて、緊張したり、運動したりしても、顔全体が赤くなるでしょう。問題は、そのような正常に体温が上がるような状況ではないはずなのに赤ら顔になっている時です。
その代表的なものは、いわゆる風邪です。
いわゆる風邪ではなく、顔全体が赤くなるのは、東洋医学的には「心」や「腎」の問題が多いようです。昔、炭水化物抜きダイエットが流行ったときに、普段は肉を食べないのに、ダイエットとして肉しか食べない生活をしてしまった人に赤ら顔が起こっていました。当然、皆さんがなる訳では無いのですが、私の考えは、急激な動物性たんぱく質の過剰摂取(その人にとっての)によって、腎臓に負担が増え、かつ、動物性脂質が普段よりも過剰に体内へ入ることによる体温の上昇などが起こり、顔面が全体的に赤くなるのではないか?と考えています。その赤ら顔が続いてしまうのは、臓腑のどこかに炎症のような状態がその後に起こってしまうからで、その炎症のような状態が軽減してゆかないと、赤ら顔は収まりません。

そして、
この赤ら顔は、あまり良くないです。

どのような取り組みになるかは、熱を発している臓腑などに対して行ってゆきますが、一点、かなり注意した方が良いことがあります。
それは、
さらに熱を帯びる可能性の高い飲食物を止めることです。
これは、本当に大事なので、注意した方がよいと思います。

2025年08月15日

においが分からない?

初稿 2025年8月18日

アレルギー性の鼻炎や副鼻腔炎などの、鼻腔炎症が長く続いていると、嗅覚にも変調が出てくる場合があります。
正確な嗅覚のチェックは、耳鼻咽喉科などで検査する必要がありますが、ここでは、鍼灸的に「におい」について考えてみましょう。

 

においが分かりづらい

 

東洋医学の臓腑理論の考え方では、

「におい」は、「肺」と「心」が大きく関与します。

「肺」、つまり現代医学で言うところの呼吸器に近い概念ですが、鼻は呼吸器の一部ですので、東洋医学的にも、現代医学的にも、区分は似ています。
また、「心」ですが、ここでは現代医学で言うところの「脳機能」に近いので、これも現代医学も東洋医学も解釈が似ています。

大きく異なるのは、「におい」の問題に、東洋医学では

「大腸」

を考えることです。
東洋医学では「大腸」は「肺」の表裏関係にあるので、関連が深いので、「肺」に関与するなら「大腸」も一緒に考えると言う理論ですが、現代医学にはこのような考えは無いので、ちょっと特殊かも知れませんね。

臓腑理論の観点では、今挙げた「肺」「心」「大腸」の臓腑に不具合が出ることで、においが分かりづらくなってしまうことが多いと考えています。つまり、臨床では、まず、取り上げた臓腑からチェックし、不具合が出ているところに対して治療してゆきます。

 

次に経絡理論の考えでは、「鼻」を走行する経絡は、

主たるものは「督脈」と「大腸経」と「胃経」です。

経絡は気血が巡るルートと考えられていますが、身体のさまざまな器官は、気血が巡ることで、その機能を発揮するとされています。

つまり、「鼻」を巡る経絡の流れに不調が起こると、「鼻」の機能が上手く発揮されなくなり、においが分かりづらくなったりすると考えます。

臨床では、これらの経絡のどこに流れが良くないものがあるかをチェックして、その流れが良くないところに対して治療してゆきます。

 

また別の視点、大極理論の考えでは、上半身では主に力が程よく抜けている方がよいと考えています。ちなみに、これを上虚や頭寒と言ったりします。

しかし、本来力が程よく抜けていた方が良いはずなのに、程よくではなく抜けすぎてしまったり、力が無駄に入ってしまうと、その部位で不調が起こってしまいます。もし、その場所が鼻で起きれば、場合によっては、嗅覚に影響が出るかも知れません。

このように考えて、本来力が入っているべき部位、別の言い方では下実や足熱と言ったりもしますが、これら力が入っているべき部位で力が入っていない部位を探して、力が入りやすくしてあげると、無駄に力が入っていたり、逆に入るべき力が入らなかったりしたのが、改善されたりします。

 

臨床的には、経験的に「においが感じづらい」と言う症状に効くとされるポイントから治療に使ってゆくことが普通ですが、上述のように考えて治療にもあたってゆきます。

2025年08月18日

よく首が痛くなる

初稿 2025年8月19日

首は非常に動く場所です。身体の部位の中でトップスリーに入るほどの動く部位だと思います。非常に運動性が高い部位なだけに、内臓の状態や、他の部位の状態の影響も受けやすいです。

 

頚部痛

 

その中で、首が凝ると言うよりも、痛くなると言う場合は、

いくつかの問題が重なっていることが多い

ような気がします。
そしてよく重なって起こる問題は、

1.肝臓の問題、

2.心臓の問題、

3.首自体の問題、

です。
そして、

1.肝臓の問題の比重が大きい場合は、
 ➡ 右側の首が痛くなりやすく、

2.心臓の問題の比重が大きい場合は、
 ➡ 左側の首が痛くなりやすい

ことが多いです。
ただ、首は左右のバランスを取るように筋肉が作用するので、あくまでも、こういうことが多いと言うだけなのですが、でも、こういうことは多いです。

そして、首の古傷的な、首自体の問題も大きな要素になることが多い実感があります。この、古傷的な問題は、継続的な取り組みが必要なことが多く、かつ、時間と手間がかかることが多いです。

これらの話は、基本的には東洋医学的に考えた場合なのですが、現代医学的に考えても当てはまることが、間々あったりするので、健康診断や人間ドックの結果と合わせて考えてみても良い場合もあるかも知れませんよ。

それぞれの問題に対する、考え方や取組み方は、今後、この雑談コラムで触れてゆくと思いますので、それまで、ちょっとお待ちください。

2025年08月19日