ちょっとよくない赤ら顔-内熱・発熱・鬱熱から考える

初稿 2025年8月15日
最終加筆2026年1月18日

赤ら顔の原因と考え方
 ー 東洋医学・鍼灸の視点

鏡をふと見たときに、

「今日、なんだか顔が赤いな」と感じたことはありませんか。

もともと肌が白く、赤みが出やすい体質の人もいますし、
幼い頃から頬がほんのり赤い、いわゆる「りんごほっぺ」の人もいます。
こうしたもともとの赤ら顔は、今回の話の中心ではありません。
それ自体は、基本的に病的ではなく、体質の範囲であることが多いからです。

今回取り上げたいのは、

「以前とは違う赤ら顔」
「最近になって出てきた赤ら顔」

です。
特に次の二つに注目します。
① 顔面がまだらに赤くなる
② 顔面が全体的に赤くなる
頬だけ赤くなる、おでこだけ赤くなる、鼻の周りだけ赤くなる、といった細かなパターンも実際にはありますが、まずはこの二つの典型例から考えてみましょう。

赤ら顔

 

① 顔面がまだらに赤くなる-内熱のサイン

東洋医学的な見方 ―「内熱」

このタイプの赤ら顔は、東洋医学では「内熱(ないねつ)」と表現されることが多い状態です。
簡単に言えば、

体のどこかに「こもった熱」がある、

というイメージです。
熱といっても、必ずしも体温計で測れる発熱ではありません。
むしろ、体の内側にじわじわと溜まっているような熱の場合もあります。

よくある出来事(例)

たとえば、こんな経験はないでしょうか。

普段はあまり食べないのに、前日に焼肉をたくさん食べた。
脂っこいものやアルコールも一緒に摂った。
その夜、なんとなく寝つきが悪かった。

翌朝、顔を見たらまだらに赤い。

こうしたとき、東洋医学では「腸内に熱がこもっている」と考えます。
現代医学的に言えば、消化管の軽い炎症や血流の変化に近い状態かもしれません。

一時的なら必ずしも問題ではない

ポイントは、一時的なものであれば、必ずしも問題ではないということです。
食べ過ぎた翌日に赤くなる。
お酒を飲んだ翌日に赤くなる。
ストレスが強かった日に赤くなる。

こうした反応そのものは、体が正常に戻そうと反応しているだけとも言えます。
この段階で、必ず治療が必要というわけではありません。

問題になるのは「当たり前」になったとき

しかし、問題になるのは、

このまだらな赤ら顔が「当たり前の状態」になってしまう時です。

食事を特別に乱したわけでもないのに、いつも赤い。
寝不足でもないのに、慢性的に赤い。
何週間も同じような状態が続いている。

こうなってくると、「一時的な反応」ではなく、
体のどこかに慢性的な熱の偏りがある可能性が出てきます。

鍼灸では、どの臓腑に熱がこもりやすいかを見ていきます。
場合によっては胃腸であったり、肝であったり、あるいは別の臓腑であったりします。

東洋医学と現代医学の違い

今は東洋医学的な説明をしましたが、
現代医学的なアプローチでも、もちろん構いません。

ただし、東洋医学の「内熱」という考え方と、現代医学の炎症や血管反応の考え方は、完全に同じではありません。
同じ現象を、違う言葉で見ている部分もあれば、見ている角度自体が違う部分もあります。
その違いを理解したうえで、自分に合ったアプローチを選ぶことが大切です。

 


 

② 顔面が全体的に赤くなる-発熱・心腎の問題

正常な赤みと異常な赤み

次に、顔全体が赤くなるタイプです。
これは東洋医学では「発熱」の状態と考えます。

ただし、ここでも注意が必要です。
緊張したとき。
運動したとき。
暑い場所に長くいたとき。

こうした場面で顔が赤くなるのは、ごく自然な反応です。
血流が増え、体温調節が働いている証拠でもあります。

問題なのは、
「本来、赤くなるはずのない状況なのに、顔全体が赤い」ときです。

代表的なのは風邪です。
熱が出ていれば、顔全体が赤くなるのは自然な反応でしょう。

しかし、熱もないのに、顔だけが常に赤い。
あるいは、ちょっとしたことで異常に赤くなる。

こうした場合、東洋医学では「心」や「腎」の問題が関係していることが多いと考えます。

具体例(食生活の変化)

少し具体例を挙げます。

以前、炭水化物抜きダイエットが流行った時期がありました。
普段はそれほど肉を食べない人が、ダイエットのために急に肉中心の食生活に変えた。
すると、中には顔全体が赤くなってしまう人がいました。

もちろん、全員がそうなるわけではありません。
同じ食事でも平気な人もいれば、強く影響を受ける人もいます。

私の臨床経験から見ると、こうしたケースでは次のようなことが重なっているように思います。
・その人にとって、動物性たんぱく質が急激に増えた
・腎臓にかかる負担が大きくなった
・動物性脂質の増加によって体内の熱が上がった
その結果として、顔全体が赤くなったのではないかと考えています。

長引く場合の問題(鬱熱)

さらに問題なのは、こうした状態が一時的に終わらず、続いてしまう場合です。

その場合、単なる「食事の影響」だけではなく、
どこかの臓腑に鬱熱が起こっている場合が多いようです。現代医学的に言うなら、炎症のような状態が残ってしまっている可能性が考えられます。
この鬱熱などが軽減しない限り、赤ら顔も収まりにくいのです。

このタイプの赤ら顔は、あまり良くない

顔全体が慢性的に赤い状態は、東洋医学的には軽く見てはいけません。

どの臓腑が熱を持っているのか。
それが心なのか、腎なのか、あるいは別の臓腑なのか。
経絡の流れにどのような影響が出ているのか。

鍼灸では、こうした点を見ながら治療を組み立てていきます。
場合によっては、生活リズムや食事、服薬との関係も含めて考えます。

特に大切なこと ― 飲食物の見直し

ただし、ここで一つだけ、強調しておきたいことがあります。
それは、

さらに熱を帯びる可能性の高い飲食物を控えること。

これは本当に大切です。

いくら鍼灸で熱を下げようとしても、
毎日の食事でさらに熱を増やしていれば、体はなかなか落ち着きません。
アルコール、刺激の強い香辛料、過剰な脂質、極端な肉中心の食事などは、
体に熱を生みやすいことが多いです。
すべてを一律に禁止する必要はありません。
しかし、赤ら顔が強いときには、意識して飲食物を見直す価値があります。

最後に ― 赤ら顔は体からのサイン

赤ら顔は、単なる見た目の問題ではありません。

体の内側で起きている変化の「サイン」であることもあります。

一時的な反応なのか、慢性的な状態なのか。
食事や生活と関係があるのか、そうでないのか。

鏡の中の赤ら顔を、ただ「困ったもの」として見るのではなく、
「体からのメッセージ」として受け取ってみてください。

その見方ができたとき、
赤ら顔は、あなた自身の体を理解するための手がかりになるかもしれませんね。

 

2025年08月15日