肩甲骨の間が痛い|背中(上背部)の痛みを鍼灸の視点で考える
初稿 2025年8月25日
最終加筆2026年3月5日
背中(肩甲骨の間)が痛い
背中と言っている場所(上背部)
ここで言っている背中は、
上背部とよく呼ばれる場所のことで、医学的には胸椎1-7番目の周囲のことを指します。
ちょうど、肩甲骨と肩甲骨の間のあたりです。
肩甲骨の間はセルフケアが難しい
この場所、痛くなった経験がある方は分かると思いますが、少し扱いづらい場所です。
手はなんとか届きそうで届きませんし、
ストレッチをしても効いているのか、効いていないのか、はっきりしない。
マッサージ器などを当ててみても、
「当たっているような、当たっていないような」
そんな微妙に届いているのか、届いていないか分かりづらい場所です。
自分で対応する場合の方法
自分でどうにかしようとすると、
多くの場合は首を動かして、結果として、この部位に影響が出ることを期待する形になります。
首の動きを使った調整
例えば、
・首を前後に動かしたり
・左右に倒したり
・ゆっくり回してみたりします。
そういった動きでは、上背部の筋肉も動くため、
ストレッチのような、運動のような効果を期待した取り組みになります。
首にトラブルがあると難しい
ただし、ここで一つ問題があります。
もし首自体が痛い場合、
あるいは首にトラブルがある場合は、
この方法自体が難しくなることです。
それは、首自体が痛い人にとっては、
首を動かすこと自体が負担になってしまうからです。
上背部は鍼灸治療に向いている部位
そう考えると、この肩甲骨の間の上背部は、
鍼灸治療に向いている部位の一つ
とも言えます。
自分では手が届きにくい。
動かして調整するのも難しい。
そういう場所は、外から刺激を入れる治療の方が、
取り組みやすいことが多いからです。
肩甲骨の間が痛くなる原因
では、この上背部の痛みは、何が原因なのでしょうか。
当然ながら、いろいろな原因が考えられます。
例えば、
・長時間の作業
・姿勢の偏り
・筋肉の疲労
・オーバーユース
こういった理由で、筋肉がこわばり、痛みが出ることもあります。
いわゆる「使いすぎ」や「疲れ」です。
鍼灸臨床でよくみる傾向(左=心/右=肝)
しかし、鍼灸の臨床の角度から見ると、
この場所の痛みは、単純な筋肉疲労だけではなく、
特定の臓腑の状態と関係していることが多いと感じます。
臨床では、比較的はっきりとした傾向があります。
それは、
左なら「心」
右なら「肝」
です。
もちろん、これは絶対ではありませんが、
かなり多くのケースでこの傾向が見られます。
鍼灸でいう「心」と「肝」
ここで言う「心」や「肝」は、
現代医学で言うところの心臓や肝臓とは、
少し意味合いが違います。
鍼灸で使われる臓腑の概念は、
機能を中心にした捉え方だからです。
ざっくり言うなら、
「心」=循環機能
「肝」=血液の調節機能
と考えると、イメージしやすいと思います。
※本当は東洋医学的な表現には、もう少し多くの意味があります。
興味のある方は勉強してみると、なかなか面白い分野ですよ。
夏と「心」の負担
例えばですが、この記事を書いている現在は
2025年8月25日です。
今日もかなり暑い日です。
この季節は体温調節のために、
多くの人が大量の汗をかきます。
汗の元は、血液です。
つまり、汗をかくということは、
体内の血液の一部を体外に出していることになります。
そして、その一方で、
体の中では普段通りに血液を循環させ続けなければいけません。
つまり、
・汗として外に出る分
・体内で循環する分
この両方を合わせた量を、
夏の間は循環させ続ける必要があります。
そう考えると、
汗をあまりかかない季節に比べて、
夏は「心」の負担が大きくなる
と言えます。
背中の痛みと体の反応
人体は、臓腑の働きに負担がかかると、
その周囲の筋肉が緊張する傾向があります。
そして、心臓から出る大きな血管は、
背骨の左側を通って走っています。
そのため、
循環に負担がかかると
左側の背中の筋肉が緊張しやすい
という状態が起こりやすくなります。
その結果として、
左の上背部に痛みが出る
という形になることがあります。
右側の痛みと「肝」
一方で、
右の上背部の痛みの場合は、
「肝」の働き
と関係しているケースが多く見られます。
このように、
「心」の不調は左背中に
「肝」の不調は右背中に
痛みとして現れることが、臨床ではよくあります。
鍼灸治療ではどう考えるか
こうした見方をすることで、
鍼灸治療では少し違った対応ができます。
痛みが出ている場所そのものにも施術しますが、
それだけではありません。
その痛みが、
どのような体の状態から生まれているのか
そこも含めて考えていきます。
必要に応じて、
・関連するツボへの施術
・生活習慣の調整
・体の使い方の見直し
などを、状況に合わせて取り組んでいきます。
背中の痛み一つでも、
体の内側の状態を手がかりにすると、
見え方が少し変わってくることがあります。
そして、その視点が
治療の方向を決めるヒントになることも少なくありません。
まとめ
もし、肩甲骨の間の痛みが続くようでしたら、
単なる筋肉のコリだけではなく、
こうした体の働きの変化も含めて
一度体を見直してみるのも一つの方法かもしれません。
このような症状の背景や体の状態について
同じような痛みでも、原因や身体の状態によって捉え方が変ることがあります。
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