練架庸術(身体基礎技術)
初稿2025年1月10日
最終加筆2025年3月21日
一、目的
技術面の基礎を身に付ける。
ただし、あくまでも私個人の考えるものであるので、どれだけの人に使えるかは分からないし、知識面や哲学面や道徳面の考えが違えば、おのずと技術基礎も変わる可能性が高いので、注意して参考にしてもらえたら嬉しい。
二、方針
実技を通して、技術基礎を身に付けてゆきながら、その背景にある理論面や精神面や哲学面なども感じてければ理想的
就学資格
以下の内容に同意し、以下の質問に回答できること
(1)ヒポクラテスの誓い、大医精誠、形影夜話などに述べられている医療倫理について、内容全部でなくても大意として同意していること。
(2)次の質問に答えられること。
①伝統医学において天人合一や人倫和諧は基本精神だが、その具体的な三つの内容は?
②養生方法などで8の倍数回、行うことがあるが、この8回の意味は?
三、教学科目
(一)整理運動
体を整える目的で行う一連の体操的な運動。一義的には大きな意味を持たない動作が多い。
1.準備体操
ラジオ体操的な一連の軽微な体操動作
屈伸、伸脚、前後屈、側屈、伸腕前後屈、腕水平外転、腕水平内転、腕挙上後方内転、腕下垂後方内転、腕外旋、腕内旋、肘伸展手過伸展、肘伸展手屈曲、肘屈曲手四指伸展、肘屈曲手母指伸展、肘屈曲手四指屈曲、肘屈曲母指屈曲
肩関節伸展、肩関節屈曲、肩甲骨剥離、股関節屈曲、股関節側屈、開胸伸展、首側屈、首前後屈、首回旋、叩打胸腹、圏抱掌
2.整理体操
ストレッチ的な一連の伸長動作
開脚前屈、片開前側屈、屈脚前屈、伸展前屈、座盤旋腰、足部回旋、膝股両屈伏臥、膝股両屈伏臥変反、伏臥反伸、伏臥両手挙上反伸
3.整理動作
養生体操的な一連の軽微な反復動作
擦掌、擦腎、擦耳、鼓耳、梳髪、擦眉、旋眼、叩歯、転舌、含嗽、飲唾、叩躯
(二)身体操作基礎

1.姿勢要点
様々な姿勢や動作を作るうえで、ポイントになるかも知れないコツのようなもの。
別に覚えなくても良いが、意味が深いものもあるので、知っていても損は無い。
虚霊頂頚、二目平視、含胸抜背、沈肩墜肘、屈膝抜股、尾閭正中、立身中正、沈肘円當。
気沈丹田、意守会陰、神態自然、気忌上浮、重心安定、内円外陵、陰陽奥妙、無形為宝。
2.呼吸(操動用)
特に全種類できる必要は無い。取り組んでいる目的や体質によって用いる呼吸法は変化させるし、無形的であったほうが良い。
胸式、腹式、側腹式
3.站椿
鍼灸治療は立位で施術することが多いため、しっかり立てることは重要な技術の一つと言える。站椿功には立ち方以外にも様々な意味が内包されるため、やっておいても良い練習の一つと言える。
馬歩、弓歩、虚歩、盤歩、仆歩、独立歩
4. 練功
(1)練功1
調身と調息を合わせる
換気、基本功、頚功(前左右上)、転腰、振掌、捏球、推掌、撑掌、圧降、上托、擺腕(前後左右)、摔甩(しゅつしゅつ)(スワイソウ)、跕(ちょう)脚(きゃく)、展臂
(2) 練功2
調身と調神を合わせる
擦掌、開合、揉球、模魚、旋腕、旋掌、旋気揉胸揉腹、単人粘劲(ねんけい)
(3) 練功3
調息と調神を合わせる
両儀馬歩、十字弓歩、螺旋虚歩、抱球馬歩、十字弓歩、鷹爪馬歩、馬歩旋腕、弓歩柔股
5.套路
老架式は、調心、調息、調身を合わせる。発力や陰陽分別や易の関係などを動作から理解
軟架式は、陰陽不分や抜力を理解
小架一路、単打、四朗寛は、身体の使い方と動きを通して哲学(見自己見天地見衆生)の理解を目指す
6.武器
槍は、意識を遠くに置くこと
刀は、引いて切ること
(三)臨床技術基礎
1.唯掌論
基本的な手指の動きの練習
本来は、散針のための練習方法
2.鳳凰天翔
伸指法は、瀉法のために
屈指法は、補法のために
3.推拿基礎手技
滾法は、安定的な下半身と手関節の柔らかさを
顫法は、細かい振動を縦で出来るようになるように
揉法は、上肢の柔らかい動きのために
4.刺法
(1) 切皮
直刺は、基本的には片手で比較的にゆっくり目で
捻刺は、基本的には両手で早く鍼を回しながら
弾刺は、基本的には鍼管で
(2) 刺入
速入は、早く刺入
遅入は、ゆっくり刺入
顫入は、震わせながら刺入
(3) 手技
提挿は、皮膚に対して垂直方向に
捻転は、正中線に対して求心か遠心か
振顫は、いわゆる雀啄
(4) 抜出
速抜は、早く抜出
捻抜は、捻転しながら抜出
揺抜は、振顫もしくは軽度捻転しながら抜針
5.脈診
八祖脈である、浮沈、虚実、大小、滑渋を
6.腹診
形、緩い所、硬い所、浅い層、深い層を
(四)精神操作基礎
1.坐法
楽な座り方で良い
胡坐、単盤坐、双盤坐
2.呼吸(静座用)
特に全種類できる必要は無い。取り組んでいる目的や体質によって用いる呼吸法は変化させるし、無形的であったほうが良い。
武息、文息、胎息、調息
3.意識の拡張
意識トレーニングをする際、意識拡張は次の要素を
部類は、似たものを想像
部分は、構成する部分・部位を想像
質は、内面的性質を想像
経験は、心に印象付けられている自分自身の経験
4.打座
両儀坐は、命門と丹田を
小周天は、督脈と任脈を
大周天は、陰陽維蹻脈を
中周天は、蹻脈と督脈と任脈を
(五) 座学
座学として示している部分ではあるが練習や実践することで意味を成してゆく知識類をあげる。
1. 修性
ヒポクラテスの誓いは、西洋的倫理観
大医精誠は、中医的倫理観
形影夜話は、日本的倫理観
2. 基礎知識
四書五経(大学中庸論語孟子、易経書経詩経礼記春秋)は目を通すこと
易経は必須だが、必要な部分は十翼、主に繋辞伝にある
占験は、関係性の思考の練習に良い
符呪は、座右の銘や格言、ある種のお守りの道理を知るのには良い。
祈祷は、他力本願しかできない状況でどうするか?を学ぶ