ピックアップと直流抵抗
【注意】趣味の隠し部屋の記事は、基本的に素人がレスポールタイプのギターをいじってみた個人的な備忘録ですので、その辺を踏まえて情報を活用して頂けると幸いです。
初稿 2025年6月27日
ピックアップの音の傾向を示すために、簡易的に直流抵抗値が用いられ、広く知られている。また、比較的簡単にコイルのインダクタンスや、キャパシタンスを測定する機器も入手できる。
簡単に、この用語を整理しておこう。
【用語説明】
・インピーダンス Z[Ω]:レジスタンスとリアクタンスを含むもの。
・レジスタンス R[Ω】直流・交流のどちらでも電気の流れを妨げるもの。
・リアクタンス X[Ω】交流の時に電気の流れを妨げるもの。
・誘導性リアクタンス XL[Ω】コイルのリアクタンスのこと。
・容量性リアクタンス XC[Ω】コンデンサのリアクタンスのこと。
・インダクタンス L[H]電流の変化に対して起電力を生じる性質のこと。
・キャパシタンス C[F]電荷(電気)を蓄える能力のこと。

そこで、簡単にだけど、まとめてみた。
ピックアップの出力・音質を決める主な要素
1.🧲 インダクタンス(L)
・ピックアップのコイルの巻き数や構造によって決まる。
・高音域を抑える性質があり、インダクタンスが大きいと音が「太く・こもりやすく」なる。
・また、内部キャパシタンスと共に共振周波数を決める要素でもある。
🔁 高いインダクタンス → ローパス効果強・共振が低域寄り → 丸い音に
2.⚡キャパシタンス(C)
・ 主にコイル内部の静電容量やケーブルのキャパシタンスによって影響。
・インダクタンスと組み合わせて共振周波数を決定。
・キャパシタンスが大きいと高域が早くロールオフし、まろやかな音になる。
🔁 大きいキャパシタンス → 共振が低域に → 高音控えめで柔らかい音
3.🔌直流抵抗(DCR/R)
・コイル線の巻き数と太さによって決まる導線の抵抗値(単位はΩ)。
・出力の目安として使われるが、出力の直接的な原因ではない。
・同じ太さの線を使っているなら、高DCR=巻き数が多い=出力が強い傾向はある。
🔁 DCRは出力傾向の「副産物的指標」
4.🧲マグネットの種類(磁力の強さと材質)
種類 | 音の特徴 |
---|---|
アルニコ2 | 柔らかく、甘く、自然 |
アルニコ5 | パンチあり、明るく、モダン寄り |
セラミック | 高出力、硬質、エッジ強め |
ネオジムなど | 非常に高出力、現代的・実験的なサウンド |
・マグネットが強いと弦への影響(磁気ドラッグ)も強くなり、サステインやピッキングへの反応も変化。
🔁 磁石の強さと材質で、音の硬さ・明るさ・出力感が変わる
5.🎚出力の定義と誤解について
・出力(電圧)は、磁束変化 × 巻き数によって生まれる。
・DCR(直流抵抗)が高い=出力が大きいはよく言われる。
が、実際には、巻き数が増える → DCRも増える → 出力が増えることが多い
・=「DCR(直流抵抗)はあくまで出力傾向の副指標」であり、因果を逆に捉えないことが重要
総合的にみると
要素 | 主な影響 |
---|---|
インダクタンス L[H] | 高音の減衰、共振の位置、音の太さ |
キャパシタンス C[F] | 共振の周波数、音の明るさ・抜け感 |
直流抵抗 DCR[Ω] | 巻き数の目安 → 出力傾向のヒント |
マグネット | 出力レベル、音のアタック・硬さ |
巻き方・構造 | 明瞭さ、コンプレッション、レスポンス |
まとめ:ピックアップの「音のキャラクター」は、こうして決まる
・🎸 明るくシャープな音 → 低いインダクタンス、小さいキャパシタンス、アルニコ5、やや低い直流抵抗
・ 🧈 太くまろやかな音 → 高いインダクタンス、大きいキャパシタンス、アルニコ2やセラミック、高い直流抵抗
・ 🔊 強い出力とアタック感 → 高巻数+強磁力(セラミックなど)